灰岳山麓 — 東北内陸・信越 灰岳かぶ
Brassica rapa
由来
雪の下で越冬させると、繊維がほどけて甘みが立つ。灰岳の集落では、根雪の前に土を寄せ、春の雪解けと同時に掘り出してきた。焼き畑の名残をとどめる、赤紫の肩を持つかぶ。
危機度
危急
- 栽培
- 11戸
- 種子保存
- 自家採種のみ
- 初出記録
- 1832年(天保3年)
継承者の声
「祖母の畑から三十粒。それが今年、十一戸ぶんの種になりました。」
継承4年目・栽培者
在来種継承プラットフォーム
気候が変わり、担い手が減り、名前ごと消えていく野菜がある。
Terravoir は、在来野菜が生きられる条件を衛星の目で読み、
その種を次の栽培者へ手渡すための継承インフラです。
OBSERVATION
在来野菜は、種苗店には並ばない。その土地の気候と食卓に合わせて、何世代もかけて選び継がれてきた、その土地だけの品種。種を採る人が絶えれば、種も、栽培の勘所も、料理の記憶も、一緒に消える。
Terravoir は、消えかけている品種から順に、由来と危機度と生存条件を記録している。記録は保存のためだけではない。種がもう一度畑に還るとき、どこでなら生きられるかを示すためにある。
Terravoir 在来種調査 2026年6月時点
ARCHIVE
品種を選ぶと、その野菜の由来、いまの危機度、そして生き延びるために必要な条件が開きます。
品種を選ぶ
灰岳山麓 — 東北内陸・信越 灰岳かぶ
Brassica rapa
由来
雪の下で越冬させると、繊維がほどけて甘みが立つ。灰岳の集落では、根雪の前に土を寄せ、春の雪解けと同時に掘り出してきた。焼き畑の名残をとどめる、赤紫の肩を持つかぶ。
危機度
危急
継承者の声
「祖母の畑から三十粒。それが今年、十一戸ぶんの種になりました。」
継承4年目・栽培者
汐見崎 — 九州北部沿岸 汐見崎なす
Solanum melongena
由来
海霧が走る岬の段々畑で、潮風に鍛えられて皮が薄く締まる。焼くと蜜のように崩れる小ぶりの長なすは、行商の船とともに湾を渡った。いま、種を採り続けるのは三軒だけ。
危機度
消滅寸前
継承者の声
「味を知っている人が湾の周りにまだいる。それが続ける理由です。」
継承12年目・栽培者
鴉羽郷 — 北関東 鴉羽ねぎ
Allium fistulosum
由来
火山灰の深い土に斜めに伏せ込み、曲がりながら軟白部を伸ばす。鴉の濡れ羽色と呼ばれた葉の照りが名の由来。冬の鍋のために、四十二戸がいまも畝を立てる。
危機度
存続
継承者の声
「組合で種を採る畑を分けて持つ。誰かが欠けても、種は残る。」
採種組合・代表
月白の郷 — 東海・近畿内陸 月白うり
Cucumis melo
由来
月白と呼ばれる青みがかった白皮は、盆地の寒暖差がつくる。粕床に一年寝かせる漬け瓜として、酒蔵とともに栄えた。蔵の数だけ、瓜の畑があった。
危機度
危急
継承者の声
「蔵が一軒戻ってきて、瓜の注文が二畝ぶん増えました。」
継承6年目・栽培者
雪袋の谷 — 北陸・信越 雪袋豆
Glycine max
由来
豪雪の軒下に藁の袋で吊るし、ひと冬かけて乾かす。煮ると皮が破れず、ふくらんで艶が出る在来大豆。かつては嫁入り道具の味噌のために、どの家も一畝を守った。
危機度
消滅寸前
継承者の声
「この豆の味噌を仕込める、最後の代にはならないつもりです。」
継承2年目・栽培者
SURVIVAL ATLAS
衛星が観測した日射・降水・地表温を品種の生存条件と重ね、いま栽培できる土地を割り出します。地図の色は、その品種の危機度です。
観測点は Terravoir 観測網の集計単位で、実在の行政区画を示すものではありません。
生存域
危急 灰岳かぶ — 東北内陸から信越の豪雪帯
消滅寸前 汐見崎なす — 九州北部の海霧がかかる沿岸
存続 鴉羽ねぎ — 北関東の火山灰土の台地
危急 月白うり — 東海から近畿の内陸盆地
消滅寸前 雪袋豆 — 北陸から信越の豪雪の谷
生存条件の観測値
衛星観測 2025年平年値・産地気象台の補正済み
STEWARDS
アーカイブは出発点にすぎません。品種が生き残るのは、畑と、貯蔵庫と、台所。それぞれの持ち場で種をつなぐ人がいます。
栽培の担い手
移住就農5年目。離農した師匠の畑ごと灰岳かぶを引き受け、雪下栽培の勘所を記録しながら次の一戸を探している。
「畑を継ぐというより、畑のやり方ごと預かった感覚です。」
種子の番人
種子保存施設の研究員。発芽率が落ちる前に種子を低温休眠へ移し、委託された品種の系統を台帳で管理する。
「眠らせるのは止めるためではなく、起こす日のためです。」
食文化の継ぎ手
料理人。産地に残る漬け方・煮方を聞き書きし、品種ごとの調理記録をアーカイブへ寄せる。味の記憶が畑を呼び戻すと信じている。
「レシピが残れば、畑に戻る日が来ます。」
JOIN
Terravoir への参加のかたちは三つあります。どれも、種がもう一度土に触れるための持ち場です。
生存地図があなたの土地に合う品種を示します。種子と栽培記録一式、産地の継承者との引き合わせまで伴走します。
続けられなくなる前に、種と栽培の勘所をお預かりします。自家採種の系統はそのまま、保存と記録を引き受けます。
聞き書き、写真、調理記録。畑に立たなくてもできる継承があります。アーカイブの編集会員として関われます。
登録は無償です。種子の受け渡しには産地の継承者との面談を挟みます。