時間の反転
設計の起点を六時間後の残り香に置く。トップノート比率を全体の約八%に抑える。一般的な EDP は二十〜三十%。高揮発成分を主役から外し、その分を保留剤と基剤に回す。
ÉTHRA
ÉTHRA は、拡散しない持続だけを設計するフレグランス。自分の体温の内側で、長く開く。
残香強度の推移(標準条件・中央値)。琥珀が ÉTHRA H08·R15、灰が一般的な EDP。
なぜ拡散を捨てたか多くの香水は、店頭のひと嗅ぎと、他人に気づかれる拡散のために設計される。ÉTHRA は最適化の対象を二重に反転させる。
設計の起点を六時間後の残り香に置く。トップノート比率を全体の約八%に抑える。一般的な EDP は二十〜三十%。高揮発成分を主役から外し、その分を保留剤と基剤に回す。
香りを遠くへ飛ばさない。拡散半径を約十五〜二十二センチに絞る。一般的な EDP は一メートルを超えて届く。着用者自身のためだけに残し、半径の外へは届かせない。
店頭の一嗅ぎでは、ÉTHRA はまだ半分しか開いていない。
残り方の質を、時間軸と空間軸の二つで測る。曲線は標準条件の記録で、誇張しない。
ÉTHRA 一般的な EDP
縦軸は残香強度、横軸は経過時間。琥珀が選択中の ÉTHRA、灰が一般的な EDP。
同心円は拡散半径。ÉTHRA は選択中の値で止まり、一般的な EDP は画面の外へ広がり続ける。
拡散半径を十五〜二十二センチに絞る。粗めのミストで空中拡散を抑え、肌に直接乗せる。
三十二〜三十四℃でのみ全層が開く。ムエットの上では半分しか立ち上がらない。
布や髪に移さない設計。香りは着用者の体温の内側でとどまる。
残りを作る製造判断を、点の数値ではなく一般との比較で示す。
保留剤と基剤が結合し、トップの角が取れてラストが前に出る定着相に効く。短い熟成では初日に強く出て、三日で痩せる。
ムスク・アンブレット・ベンゾイン系を基剤の約四十%。高揮発を落とした分を保留に回し、減衰をなだらかにする。
十八℃を超えない低温で調合し、設計外の高揮発成分を飛ばさない。
一ロット約六百本。希少性の演出ではなく、熟成槽の容量がそのまま上限になる。
思想は、瓶と噴霧とキャップと型番という物になっている。
低重心、つや消しフロスト。手首に当てて温める肌当て面を一面フラットに。
低拡散アトマイザー。あえて微粒化しすぎない粗めのミストで、空中拡散を抑え半径を絞る。
マグネット嵌合でクリック音を消す。無音の人格を物性で実装する。
紙を貼らずシルクスクリーンで型番を直刷り。紙の劣化と布移りを持ち込まない。
| 型番 | 基底原料 | 残香 | 半径 | 50ml |
|---|---|---|---|---|
| H08·R15 | オリス基(アイリス) | 8 h | 15 cm | ¥24,000 |
| H10·R18 | アンブレット基(植物性ムスク) | 10 h | 18 cm | ¥26,000 |
| H12·R22 | ベチバー基 | 12 h | 22 cm | ¥32,000 |
| ディスカバリー | 2ml × 3種 | 肌で試す | — | ¥4,800 |
測定条件: 前腕の内側/2プッシュ/室温22℃・湿度50%/無風/布に移さず/着用者中央値。肌質・体温・噴霧量で前後する。
ムエットの上では半分しか開かない香りを、肌で四十八時間かけて試す。
ÉTHRA / proximity fragrance